また、ジェンダーに関する発言も論争を呼んでおり、「子どもを産めるのは若い女性しかいない」「専業主婦はダメだという刷り込みをここ20~30年、男女共同参画推進でやってきた。そんなものつぶしてしまえ」といった主張は、多様性を否定し、特定の価値観を押し付けるものとして批判されている※31)。さらに、「発達障害など存在しません」といった、科学的根拠に欠ける発言も報じられている※32)。
参政党のSNS戦略は支持拡大に効果的である一方で、その運用には危険性も指摘されている。特に「切り抜き動画」は、発言の一部だけを切り取り、文脈を無視して拡散されることで、誤解や攻撃的な印象を与える可能性がある※26)。
専門家は、SNSにおける「相手に対する批判とか攻撃的な言葉が、どうしても負の連鎖を呼びやすい側面がある」と警告しており、情緒的な刹那的な感覚で情報が広がる状況は危うさを伴うとしている※26)。これは、参政党が支持を拡大する上でSNSを最大限に活用しているものの、その拡散のされ方によっては、意図しない形で批判や誤解を招くリスクを常に抱えていることを示している。
4. 結論
「推し活」と「参政党」は、現代日本社会において異なる次元で顕著な影響力を持つ現象である。
「推し活」は、江戸時代から続く日本の文化的な基盤の上に、現代のデジタル技術と多様性受容の潮流が融合し、経済的にも社会的にも巨大な現象へと発展した。年間3.5兆円規模の市場を形成し、個人の精神的健康や日常生活の充実感に寄与する一方で、過度な金銭的負担や人間関係のトラブル、SNSによる負の側面といった課題も抱えている。
その消費行動は単なる趣味の域を超え、個人のアイデンティティやライフスタイルを表現する手段となり、愛情の貨幣化という日本独自の文化も形成している。健全な「推し活」を維持するためには、個人の金融リテラシー向上とセルフケアに加え、業界全体の倫理的な慣行と社会的なサポート体制の強化が不可欠である。