つまり赤ちゃんの反応は、ただ動きが派手だからといった単純な理由ではなく、“誰かと誰かが関わる”という社会的な意味があるときに限って起きていたのです。

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研究チームは、この現象を「人間の赤ちゃんは、ほとんど何も経験していない段階からすでに、社会的な関係性の質に注意を向けている証拠」だと解釈しています。

言い換えれば、私たちは生まれながらにして、「誰かが誰かに対してどうふるまっているか」を敏感に読み取ろうとする“アンテナ”を持っているのかもしれません。

もちろん、これは赤ちゃんが「道徳的に正しいかどうか」を理解しているという意味ではありません。善悪の判断というよりも、相手が「仲良くしたいのか」「避けたいのか」「助けたいのか」「邪魔したいのか」といった関わり方の意図を読み取る力が、ごく初期から働いていると言えそうです。

こうした力は、おそらく私たち人間が「他人と協力し合って生きる」という社会的な生き物であることと深く関係しています。

協力や信頼がなければ成り立たない人間社会において、誰が味方で、誰がそうでないかを早くから見極められる力は、生存においても大切だったのでしょう。

また、この研究が私たちに教えてくれるのは、「赤ちゃんは、何もわかっていない白紙の存在ではない」ということです。

言葉を話せなくても、自分の手足を自由に動かせなくても、目の前で起きている人間関係をしっかりと観察し、心の中で何かを感じ取っている可能性があるのです。

赤ちゃんがじっとあなたの顔を見ているとき、もしかするとあなたの行動が「優しいかどうか」「人に対してどう接しているか」を、しっかり見て感じ取っているのかもしれません。

そう考えると子供の前での振る舞いは、より慎重にならないといけませんね。

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参考文献

Kindness counts—even to a five-day-old baby
https://www.eurekalert.org/news-releases/1090853