運が良ければ、レプチンの鈍感化を阻止する方法がみつかる可能性があったからです。

結果、非常に有望な薬が発見されました。

食欲を抑え体重が減っても消費カロリーが維持される

肥満マウスを「消費カロリーを維持したまま」激ヤセさせる方法を発見!
肥満マウスを「消費カロリーを維持したまま」激ヤセさせる方法を発見! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

レプチンの鈍感化を防ぐにはどんな薬が効果があるのか?

研究者たちはさまざまな薬を肥満マウスに注射する実験を繰り返しました。

結果、レプチンの鈍感化が細胞内部にある酵素(HDAC6:ヒストン脱アセチル化酵素6)によって起きていることが判明。

(※ヒストン脱アセチル化酵素はDNAの巻き付きを強めて遺伝子を不活性化する効果があります)

そしてこの酵素の働きを阻害する有機化合物「ツバスタチンA」を肥満マウスに与えたところ、レプチンの鈍感化が解除され、わずか数週間で25%の体重を減量させることに成功します。

またマウスの食事量と消費カロリーを調べたところ、通常のヤセ薬とは異なり、食事量が減って体重が落ちても、消費カロリーが維持されていることが確認されました。

さらに減量したマウスの体を解剖して調べたところ、失われた体重のほぼ全てが脂肪であることが判明します。

通常のダイエットでは体重が減ると筋肉の量が減ってしまいますが、体の肥満防止システムを再起動したことで脂肪だけを狙い撃ちにしたダイエットが可能になったのです。

体の肥満防止システムを再起動する安全な方法を探る

HDAC6阻害薬は毒性があるため分子構造を再設計した改良版が必要である
HDAC6阻害薬は毒性があるため分子構造を再設計した改良版が必要である / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

今回の研究により、理想的なダイエットを実現するために重要な「レプチンに対する敏感さ」を再起動させる方法が発見されました。

私たちの体は生存のためにヤセることをなんとしても避けようとする防衛機能がありますが、同時にレプチンを中心とした肥満防止システムも存在します。