少子化は野球のみならず、サッカーやラグビーなどの高校スポーツに大きな影を落としている。スポーツ庁の2019年3月の調査によれば、2009年から2048年までに運動部活動の生徒数が約30%減少し、チームスポーツでは半減する可能性があると予測されている。特に野球は9人、サッカーは11人、ラグビーは15人以上が必要で、部員不足は即、試合が成立するかどうかの瀬戸際となる。
高野連は連合チーム制度を導入したが、その運用については疑問の声があるのも事実だ。
連合チーム制度では、たとえば部員が5人しかいない学校が、他校から5人の選手を借りて10人のチームを編成し、大会に出場できるようになる。借り受ける選手は、原則として所属校でレギュラー出場の機会が乏しい選手が多く、戦力強化を目的とした運用は本来想定されていない。この制度は、少人数校にも試合出場の機会を保障するという教育的意義に基づいて導入された。
しかし、2024年夏の全国高校野球選手権岩手大会では、部員がわずか5人だった県立金ケ崎高校が、花巻東高校と連合チームを組み、6年ぶりに初戦を突破した。花巻東といえば、大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)や菊池雄星(ロサンゼルス・エンゼルス)を輩出した名門校である。
連合チームには、花巻東の2年生3人と1年生2人の計5人が参加。しかも彼らは、同年春のセンバツでベスト8入りを果たしたチームの主力候補であり、投手・捕手・二塁手・遊撃手といった“センターライン”を担い、打順も1番から5番を占めていた。その結果「さすがに反則ではないか」とネット上で物議を醸した(2回戦では盛岡第三高校に敗退)。

連合チーム制度がサッカーに採用される可能性
チームスポーツの部員数半減の可能性は、高校サッカーも他人事ではない。特に地方の小規模校では、部員不足でチーム編成が困難なケースも増えている。しかし、連合チーム制度がサッカーに採用される可能性は低いと見られている。その背景には、競技特性と制度上の違いがある。