放出日の前後は、政治家と活動家を含む国内のインフルエンサーだけでなく、影響力が小さい一般人も中国の国営メディアの報道や報道で使用された図像のほか、中国の一般人が描いた模式図を転載して、汚染水放出反対と政権批判を繰り返した。

以上がALPS処理水放出前後の様子で、火種の扱いから情報の流れまで認知戦の典型例だったと言ってよいだろう。しかも認知戦が日中間だけでなく、韓国にも飛び火して、日韓でプロパガンダの相互利用が行われるに至った。

処理水放出時の認知戦ではプロパガンダの相互利用が行われた

認知戦は愛国心と一緒にやってくる

認知戦は国家から他の国家へ仕掛けるものとは限らない情報戦だ。

鈴木エイト氏と紀藤正樹氏が着火した統一教会糾弾で、統一教会は反日的であると世論が盛り上がったのは記憶に新しい。この反日的という言い回しと、言い回しによって愛国心が刺激された現象は、国家間の認知戦を考えるとき忘れてはならないポイントである。

鈴木エイト氏はワイドショーなどで自民党政権と保守層を統一教会とからめて批判している。紀藤正樹氏はスパイ防止法に反対するだけでなく共産党東京都委員会に献金するほどの筋金入りの左翼的立ち位置の人物だ。彼らだけでなく、有田芳生氏ほか左翼またはリベラル政党の議員や支持者も、保守層に向けて秋波を送るかのように統一教会が反日的であると愛国心を煽っている。

これから紹介する、中国から台湾に仕掛けられた、反台湾勢力の黒幕が蔡英文総統であるとして愛国心を動揺させた認知戦を知ると、鈴木エイト氏や紀藤正樹氏だけでなく、深田萌絵氏やロッシェル・カップ氏の発言を連想する人がいるかもしれない。

以降、

・どうやっても認知戦は避けられない

続きはnoteにて。

編集部より:この記事は加藤文宏氏のnote 2025年7月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は加藤文宏氏のnoteをご覧ください。