この章では、一般的なカスタマーハラスメント対応の流れを「発見 → 共有 → 判断 → 対応 → フォロー」の5ステップに分けて解説します。
ステップ①:被害の発見と記録最初の対応は、現場の従業員がハラスメント行為を「カスハラ」として認識し、適切に記録することです。
ポイントは、いつ・どこで・誰が・どのような被害を受けたかを時系列で記録すること、言動の詳細(暴言・脅迫・身体的接触など)を具体的に記載することです。
SNSやメールなど証拠がある場合は保存しておきましょう。
ステップ②:社内での共有・報告記録した情報は、速やかに社内の相談窓口や上司に報告される必要があります。
企業は報告ルートを明示し、相談しやすい体制を整えておくことが重要です。
被害に遭った場合の報告先(上司・人事・カスハラ相談窓口など)をマニュアルで明確化して、匿名での相談も可能な仕組みを整備しておくと良いでしょう。
報告者のプライバシーと安全を確保する配慮が必要です。
ステップ③:事実確認と社内判断報告内容に基づいて、企業側が事実確認を行います。
加害者との関係性や顧客対応履歴なども含めて、関係者への聞き取りを丁寧に実施して全体像を客観的に把握しましょう。
ハラスメントに該当するかどうかは社内基準に照らして判断し、必要に応じて弁護士など専門家の助言を受けることも検討してください。
ステップ④:顧客への対応・防止措置の実施事実確認の結果、カスハラが認定された場合は、加害者に対して明確な対応を取る必要があります。
また、被害の再発を防ぐ措置も並行して行いましょう。
具体的な対応例としては、
顧客への注意喚起や対応拒否の通告 警察・弁護士との連携(悪質なケース) 店舗・部署の人員配置変更や安全強化
などです。
ステップ⑤:被害者のフォローと社内再発防止最後に、被害にあった従業員のメンタルケアや職場復帰の支援を行い、必要に応じて再発防止策を社内で検討・導入しましょう。