では、そうした現実を踏まえた上で、私たちはどうすれば「納得のいく一票」を投じることができるのでしょうか?
完璧じゃなくていい。「考えた一票」にするための3つのヒント

すべての候補者の政策を読み比べたり、演説をじっくり聞いたりするのは、現実的にはとても難しいことです。
仕事や学校、家庭のことで毎日が忙しい中で、投票のために何時間もかけて調べるのは、多くの人にとってハードルが高いものです。
でも、だからといって「なんとなく」で決めるしかないというわけではありません。
ここでは、特別な知識がなくても、短い時間で実行できる「納得のいく投票」のヒントを3つ紹介します。
ベストを選ぶのではなく「ワーストを選ばない」
まず1つ目の方法は、「これだけはイヤだ」と思う候補や政党を避けるという考え方です。
これは「ネガティブ投票(negative voting)」と呼ばれるもので、完璧な選択肢がないときに、「もっとも避けたい選択肢を除外する」というやり方です。
たとえば、「子育て支援に反対している政党には入れたくない」とか、「女性の権利について軽んじた発言をした人は信頼できない」といったように、自分が譲れないポイントを1つ決めて、それをもとに投票先を選びます。
全部の政策を比べなくても、こうした1つの“NO”の感覚が、投票行動のきっかけになります。
選挙で最も影響を持つのは、投票結果よりも、投票率の分布です。
ある政党が「20代の投票率が10%しかない」と知れば、その世代のニーズは無視されやすくなります。逆に「若年層の投票率が上がってきている」となれば、政策に配慮せざるを得なくなります。
政治家は当選しなければ無職になってしまいます。政党は当選者が減ればその力が大きく減退します。投票率の高い層を無視して選挙に臨むなんて賭けはできません。