だから80代以上の人たちは「選挙に行くべきだ」と言っているわけです。
実際に日本でも、選挙で国のあり方が変わっています。
戦後は自民党が長年政権を担ってきましたが、バブル崩壊後は、政治とカネの問題や派閥政治、利権構造などで国民の不満がマグマのように溜まり、2009年、「自民党政治を終わらせる」をキャッチフレーズにした民主党への政権交代が実現しました。
しかし民主党も経験不足や路線対立によって政権運営は難航し、2012年には自民党が政権を奪還しました。
つまり日本でも、選挙による民意で、政権が変わってきたのです。
1票の力は、確かに1/100万かもしれません。
でも、これが数十万票集まればもの凄い力に変わります。これが選挙なのです。
「でも投票したい人がいないから、白票を投じる」と言う人もいます。
こういう人は、もしかしたらこう考えているかもしれません。
(選挙って、理想の候補者を選ぶ仕組みでしょ。でも候補者、ダメな奴しかいないよ。ここは抗議の意味で、白紙投票してやる)
白紙投票は、確かに「マシな候補者出せよ」という抗議にはなるかもしれません。
でも現代の民主主義制度では、選挙結果には何の影響も与えません。
つまり「白紙投票は、今の政治を消極的に肯定している」ことになってしまうのです。
では、どうすればいいのでしょうか?
候補者の中には「この人に政治権力を持たせるのはヤバい」という人や「自分と考え方が全く違う」という人がいる筈です。
選挙はそういう人を選ばずに、「この人なら、悪くならないだろう。自分の考え方に一番近い」という人を選ぶ仕組みなのです。
つまり「理想の候補者を選ぶ仕組み」ではなく、「一番マシな人を選ぶ仕組み」なのです。
繰り返しになりますが、民主主義は完璧な制度ではありません。
そうした完璧でない制度の中で、自分の意思表示をするのが、選挙です。
白紙投票は、少し厳しい言い方をすると「意志決定から逃げている」ことになります。