アリストテレスの結論をひらたく言えば…

「権力って、必ず腐敗するんだよね。 しかも巨大国家だと、王制はムリです。 消去法で選ぶなら、ぶっちゃけ民主制しかないでしょ」

ということです。

これがチャーチルの

「民主主義は最悪の政治形態だ。 これまでに試みられてきた 他のあらゆる政治形態を除けば、だが」

という意味です。

確かに民主主義は、手間がかかりますし、必ずしも理想の候補者を選べません。

でも現実的には、これが一番マシなのです。

では、なぜ80代以上の人たちは「選挙に行くべきだ」と言うのでしょうか?

それは戦争でひどい目にあったからです。

実は日本も、昭和の始め(1925年)の頃までは、平和で栄えた国でした。

しかし昭和10年(1935年)頃から思想が統制され、軍部が台頭し、戦争に突入。

昭和20年(1945年)に戦争に敗れ、日本は焼け野原になりました。

特高警察ってご存じでしょうか?

「北朝鮮は問答無用で市民を強制収容所に送って、拷問している」と言われていますが、当時は日本の特高警察も、戦争や軍部に反対する人たちに対して、まったく同じ事をやっていたのです。

80代以上の人たちは、こうした自由や言論の制限を、実体験として知っています。

「自分たちは政治に対して何も言えなかった」 「戦争に反対できなかった」

という無力感を味わってきたのです。

加えて当時、日本の民主主義は未成熟でした。女性には選挙権がなく、国会議員よりも天皇・軍部・内務省の力の方が圧倒的に強く、民意を政治に反映できませんでした。

さらにマスコミも軍部に統制され、むしろ新聞が売れるので積極的に軍部に協力し、民衆を熱狂させて、戦争へと駆り立てました。

※ このあたりのことは半藤一利著『昭和史 1926-1945』に詳しく書かれています。

選挙で、全て変えられるわけではありません。

でも選挙すらなければ、こうした暴走する国家権力に対する歯止めがなくなります。