現代の民主主義は消去法で選んだので、欠陥が色々とあります。
「忙しいから行かない」という人がいるように、手間がかかります。
さらに「投票したい人がいない」というように、必ずしも理想の候補者を選べません。
それでも、この方法が一番マシなのです。
ザックリ言うと、過去にはこんな方法が試されました。
① 王制 …「民のために朕がいる」と考えるような一番徳が高い王に、全て任せる
② 貴族制 …「民のために我らがいる」と考えるような徳が高い貴族に、全て任せる
これがずっと続けば、、わざわざ選挙に行く手間も省けるので万事OKなのですが、なかなかそうはいきません。権力を持った人間は、かなり高い確率で、確実に腐敗するからです。
すると、同じ権力者が、こう変わってしまいます。
❶ 王制→僭主政 …「朕のために民がいる」と考え、民を自由に処罰し始める。こうなると暴走に歯止めが利きません。北朝鮮のように、いきなり強制収容所行きになります。それに人口が多いと、一人の王で全てを決めるのはそもそもムリです
❷ 貴族制→寡頭制 …「我らのために民がいる」と考え、贅沢三昧する。❶ほどヒドくはなりませんが、フランス革命前夜の貴族のように腐敗します
どちらもうまくいきませんよね。
そこで代議士を選んで議会に送り、多数で議論する「民主制」という仕組みが作られました。
この民主制も、実は腐敗してしまいます。でも人数が多いので、❶僭主政や❷寡頭制ほど極端に腐敗はしません。ある程度歯止めが利きます。こんな感じです。
「コイツ、オレの悪口を言ったぞ、強制収容所に送ってやる!」 「まぁ、そんな興奮せずに。ここはガマンですよ」
実は2500年前、古代ギリシャのアリストテレスがこのあたりのことを分析しています。
古代ギリシャには1000以上の都市国家「ポリス」があり、既に文字もあったので、都市国家の栄枯盛衰が記録に残っていました。観察と研究が大好きだったアリストテレスは、これらの記録を分析して、「政治学」という本にまとめたのです。