M&Aブームがもたらすこと

今年1-6月のM&Aが31兆円で世界のM&Aの1割を占めるほどになったと報じられています。以前から日本には上場企業が多すぎるから今より3-4割減らすべきと申し上げてきましたが着実にその方向に向かっているようです。私が目指すのは「上場会社を1000社減らせ」です。できれば2030年ぐらいまでに達成すべきです。これは資本効率を上げ、不必要な市場のレッドオーシャン化を避けること、更に不足する人材を有効活用するには企業合併による効率経営は避けられないのであります。また日本企業の内部留保、つまり現金を持ち過ぎ、配当もちょぼちょぼでは株主からは突き上げを食うということです。

その中でホンダと日産が興味深い協議をしていると報じらています。日産が持つアメリカの工場の稼働率が低いからそこでホンダのクルマをOEMで作るというわけです。もちろん、関税問題が引き金ですが、むしろそのおかげで両者の経営効率という点で結びつきができた点は喜ぶべきだと思います。日産のエスピノーサ新社長は就任以降、様々な手を打ち、必死の対策をしているのが手に取るようにわかります。同社の閉鎖予定だった追浜工場で鴻海と組んで車両を組み立てる可能性が出てきており、タブーなしの全方位攻めに見えます。

日本企業は今、過渡期にあると思うのです。それなりの規模になってそれなりの利益も享受できる水準なのですが、次の柱がないのです。そのために企業買収という手段に打って出るのは今の時代、最も効果が早く正しい戦略だろうと思います。海外で見る世界と日本を比べると日本人や日本企業がもつ素質は世界の中で突出していると思います。粘り強さとか改良するチカラ、最高の品質を提示し、長く使えるという意味では世界に類を見ないレベルです。今や埋もれた能力とも言えるのですが、これを引き出せば日本に夢よ、もう一度になるかもしれません。今までのやり方を変え、一歩飛び出す勇気を持てば人口減の日本でも面白い存在感を示すことができるはずです。