つまり、更年期を「通過すること」自体が、感情的な成熟と安定につながっているとも解釈できるのです。
なお、この研究は女性のみを対象としているため、男性との比較は直接行われていません。ただし、他の研究では男性の怒りは中年期以降も減少しにくく、表出のコントロールも女性ほど高まらない傾向があることが示されています。
感情は鍛えられる――“怒り”との上手な付き合い方
怒りは、誰にとっても厄介で、時に破壊的な感情です。
けれどもそれは、自分の大切な価値観が侵害されたときに湧き上がる、いわば「心のアラーム」でもあります。
それを否定したり無理に抑え込むのではなく、年齢とともにその扱い方を覚え、感情とのつき合い方が変わっていく――今回の研究は、そんな変化を科学的に示したものといえるでしょう。
「前は腹が立って仕方なかったのに、最近は不思議と落ち着いて対応できる」
そんな自分の変化に気づいたとき、それはきっと“心の成長”のサインなのかもしれません。
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参考文献
Women’s Anger Management Improves in Midlife, Study Finds
https://www.newsweek.com/women-get-better-managing-their-anger-midlife-2093567
元論文
Anger, aging, and reproductive aging: observations from the Seattle Midlife Women’s Health Study
https://doi.org/10.1097/GME.0000000000002587
ライター
相川 葵: 工学出身のライター。歴史やSF作品と絡めた科学の話が好き。イメージしやすい科学の解説をしていくことを目指す。
編集者
ナゾロジー 編集部