
図5 アメリカ株市市場における償却と発行の差 出典:日本経済新聞、2025年5月10日
教授:株式資本主義、株価至上主義の終焉を象徴するような事象のもうひとつ。それは株式市場の老舗であるイギリスのロンドン市場が縮小していることだ(図-6)。イギリスの証券市場はシティーのユーヒーハウスが起源。次の引用を見て下さい。
仲買人たちは1698年、王立取引所から出て、コーヒーハウス「ジョナサンズ(Jonathan’s Coffee House)」に引っ越します。ジョナサンズでは活発に株式取引が行われ、ジョナサンズ自体が株式市場の場になっています。これが今日のロンドン証券取引所(London Stock Exchange:LSE)の前身です。現在のロンドン証券取引所のホームページには「1698年、ジョン・キャスティンがジョナサン・コーヒーハウスで、株価・商品価格表を発行した」と記載されています。
中島茂『会社と株主の世界史』、P.245、2025年、日経BP 日本経済新聞出版
東証は売買代金でみて世界5位、ニューヨークの10分の1に縮んでいる。時価総額ではインドにも抜かれて第6位に転落した。

図6 ロンドン証券取引所の国際比較 出典:日本経済新聞、2023年5月1日
ワタナベ君:日本でも他の先進国でも地方市場問題というのがありました。通信技術の発展で一極集中が進み、実質的に一国一市場になっていった。ロンドンも各地の地方市場の機能を吸収していったのですが、いまや自らが世界の地方市場になってしまったようです。ニューヨークに機能を吸収されている。なにせ、話し方にアクセントに違いはあっても英語ですから。
教授:自立の頼みは時差だけど、それは7~8時間だからロンドンが終わる頃にニューヨークが開くという具合で取引はむしろ一続きになっている。こうなると言語の壁はありがたい。日本語のお陰で東京は上海には吸収されないで済む(笑)。