なぜ男性は前立腺刺激で快感を感じるのか?
多くの男性にとって前立腺への適度な刺激は快感を生みやすいと考えられています。それには大きく二つの理由があります。
ひとつめは前立腺が射精というフィナーレの主役の一つだからです。射精のとき、前立腺は精液の三割ほどを占める分泌液をギュッと絞り出しながら、尿道へ“押し込むポンプ”の役目を果たします。その際に前立腺の筋繊維がリズミカルに収縮し、周囲の神経が一斉に興奮して脳に強い快感信号を送ります。
外側から圧をかけると、この「射精リハーサル」のような収縮が部分的に起こりやすくなり、脳は射精時と似たパターンの快感を感じ取るわけです。
ふたつめは、前立腺を包む被膜やその裏側に性感を伝える細い神経が集中していることです。これらは骨盤内を走る骨盤神経や陰部神経と合流し、ペニスの亀頭や会陰を刺激したときと同じ“報酬回路”を脳内で開きます。つまり前立腺の軽い圧迫は、亀頭を触られたときと似た信号を脳に送りつつ、射精に備える生理的反射まで部分的に呼び起こすため、独特の深い快感になりやすいのです。
こうした解剖学的・生理学的仕組みのおかげで“前立腺は男性のGスポット”と呼ばれることがあるのです。
もっとも、こうした生物学的要因だけで男女差のすべてが説明できるわけではありません。
研究者らは社会的・心理的な要因の影響も指摘しています。
例えば女性の場合、オーガズムに達するには陰核への刺激が欠かせない人が多く、肛門だけでは不十分に感じることが多いかもしれません。
実際、本調査でも肛門のみでイク女性は少数派で、ほとんどは他の部位との併用刺激が必要だと答えています。
また、肛門セックスに対する世間のスティグマ(負の烙印)や個人のメンタル面も無視できません。
長年タブー視されてきた経緯から、女性は肛門で感じることに罪悪感や恥じらいを覚えたり、男性パートナー側も女性の肛門を積極的に刺激しづらかったりする場合があるでしょう。