一方で、男女それぞれ約半数の人(女性49%・男性47%)は「他の部位への併用刺激があればオーガズムに達した経験がある」と回答しています。

しかし「肛門への刺激では一度もイったことがない」という人は女性に多く、その割合は男性の2倍(男性16%に対して女性32%)に達しました。

このように、オーガズムに関しては男女間で明確な差が見られました。

男性の前立腺は快楽の泉

男性の前立腺は快楽の泉
男性の前立腺は快楽の泉 / Credit:Canva

今回の研究から、肛門性交による快感は解剖学的・生理学的な根拠を伴うものであることが示唆されます。

直腸の前方浅部が人気だった理由について、研究チームは男性と女性それぞれの身体構造に着目しています。

男性の場合、直腸の浅い前側は前立腺という器官に隣接しています。

前立腺は「男性のGスポット」とも呼ばれ、刺激すると射精やオーガズムを引き起こしやすい性感帯として知られています。

このため肛門から前立腺付近を刺激することで、男性は挿入のみでも快感の高まりやオーガズムを得やすいと考えられます。

一方、女性には前立腺はありませんが、直腸前壁の近くには陰核(クリトリス)の内部構造である陰核脚(クリトリスの脚の部分)が左右に伸びており、さらに骨盤内を走る陰部神経の枝もこのあたりを通っています。

陰部神経は陰茎や陰核など外陰部だけでなく、肛門や直腸周囲の感覚も支配している主要な性感神経であり、オーガズムにも深く関与します。

つまり男女問わず直腸の前側には性感を司る神経や組織が集中しているため、その浅い部分の刺激が強い快感を生むのだろうと考えられるのです。

研究チームは論文の中で「男性は女性よりも他の刺激無しに肛門刺激だけでオーガズムに達しやすいことが明らかになりました。ひとつの説明として、男性には前立腺とその周囲の神経束があり、これが肛門性交でのオーガズムに寄与している可能性があります」と述べ、男女差の一因を解説しています。