また、施設面でも進化が見られる。会場のJヴィレッジはインターハイの固定開催地として、最新のピッチやトレーニング環境を提供し、選手のパフォーマンス向上に寄与している。

かつて高校サッカー界は、関東や九州、静岡といった特定地域の強豪校が主導権を握っていた。しかし、近年は全国各地での競争力向上が顕著だ。2025年の予選結果を見ると、東北・北海道勢の活躍が目立つ。 これらの地域では、地域サッカー協会や地元企業がサポートを強化し、指導者養成や施設整備に力を入れている。


サッカーボール 写真:Getty Images

2025年インターハイ注目の選手は?

単なる部活動を超え、地域の誇りを象徴する存在となっている高校サッカー。インターハイの試合は地元メディアでも広く取り上げられ、特にコロナ禍を経て、スポーツを通じた団結力の重要性が再認識され、その価値も高まっている。

未来のJリーガーや日本代表選手を発掘する場としても、2025年も新たなスターの誕生が期待される。全国中学校大会優勝の経験があるレフティーのMF川合亜門(浜松開誠館高校)を筆頭に、MF河村頼輝(京都橘高校)、DF川上壱也(聖和学園高校)といった選手に、早くもプロのスカウトが熱視線を送っているようだ。


一方、課題としては、2024年から福島県での固定開催が始まったが、今年の夏は福島県沿岸部でも酷暑が続いている。過密日程や酷暑下での試合は、試合時間が70分(35分ハーフ)とはいえ、選手のコンディション管理に不安を残す。また、プロ志向の選手が増える中、高校サッカーが学生スポーツとしての魅力をどう維持するかも議論の余地があるだろう。

今年のインターハイは、高校サッカー界随一の強豪校、青森山田が不在というトピックにも表れているように、地殻変動の始まりとなる可能性を秘めた大会となる予感がある。上述の進化は、日本サッカーの未来を形作る重要な要素だ。新たなスター選手が、Jヴィレッジで誕生する期待が高まっている。