これを「メンデル・ランダム化」と呼びますが、簡単に言うと、まるで「生まれつきIQの高い人」を無作為に選んで比べるような自然な実験手法です。
さて、これらの調査と分析の結果はどうなったでしょうか?
データが示した結果はとても明快でした。
IQが高い人ほど、自分が特定の年齢まで生きられる確率の予測が実際の統計データに近く高精度な予測を行っていることがわかりました。
具体的には、IQが約15ポイント(1σ)がるごとに、予測の誤差範はおよそ19.4%も減少し高精度になっていきました。
(※たとえば、ある人が「自分は80歳まで生きる可能性は70%くらいだろう」と予想したとします。もし統計データ上のその人の年齢や性別を考慮した実際の生存確率が約70%であれば、その人の予測誤差は0%に近く、非常に精度の高い予測ができているということを意味します。)
またIQが平均よりも約30ポイント(2σ)低い人では、予測の誤差が約26.37ポイントにも及び精度が大幅に悪化した一方、IQが2標準偏差高い人では誤差はわずか12.13ポイントにとどまっていました。
言い換えれば、IQが高いグループと低いグループを比較した場合、IQが低いグループでは高いグループの2倍以上の精度の粗さ(誤差の大きさ)が見られたことになります。
また精度とは別にIQの低い人では同じ質問でも、ある時はとても楽観的に「90歳まで100%生きるだろう」、また別の時は非常に悲観的に「60歳までは100%生きられない」と、予測結果のブレ幅が大きく増加していました。
やや心無い言い方をすれば「IQが低いと予測の正確性が低いだけでなく予測数値の幅も回答するたびにブレブレになってしまう」という結果です。
そしてさらに興味深いことに、このIQと未来予測能力の関係は、遺伝子レベルでも明確に確認されました。
遺伝的にIQが高いとされる特徴を多く持つ人は、予測の正確性が高く予測値のブレ幅も低いという傾向がはっきり現れました。