この結果は、予測能力が単に「IQが高い人ほど健康管理が得意で寿命を正しく予測できる」といった単純な理由だけでは説明できないことを示しています。
つまり今回の研究は単なるIQと予測力の相関関係を示すだけでなく遺伝情報を用いた因果的な関係がある可能性が示唆されており、IQそのものが、未来を予測する能力に重要な役割を果たしている可能性が強く示されたのです。
では、IQの高さがなぜ将来を見通す力に直結しているのでしょうか?
IQ格差をどう乗り越えるか

今回の研究によって、IQが高い人ほど未来の出来事をより正確に予測できる可能性が強く示されました。
これは私たちが普段なんとなく感じていた「頭が良い人は判断力がある」「IQが高い人は成功しやすい」といった漠然とした考えを裏付ける、非常に興味深い結果です。
その一方で、IQが低い人たちは予測の精度が低いばかりでなく、その予測が毎回安定せず、大きく揺れてしまうことが明らかになりました。
このような予測の揺れは、実際の人生の決断においてさまざまな問題を引き起こします。
例えば、老後の生活を考えてみましょう。
将来の寿命を過大評価して楽観的になりすぎると、「まだまだ元気でいられるから貯蓄はあまりいらない」といった判断になり、結果的に老後資金が不足してしまうリスクが高まります。
逆に寿命を過小評価してしまうと、「もう先は長くないから」と考えて生活を切り詰めすぎて、人生の楽しみを失ってしまうかもしれません。
どちらの場合も、現実と自分の予測がズレてしまうことで、大きな損失や後悔を生むことになります。
実際、研究チームも「将来についての予測が不正確であることは、個人レベルでの間違った経済的な決定を生み、それが積み重なると国全体の経済成長の低下や、人々の経済的な生活水準の悪化にもつながりかねない」と指摘しています。