そして、もう一つ重要なのが、将来の人手不足に対応しつつ、稼ぐ力を強化するための設備投資支援です。現在のインフレは輸入物価の落ち着きだけで解決するものではありません。例えば、建設分野では人手不足が深刻で、4、5年前の2倍から2.5倍の建設見積もり価格が出ており、建物が建てられない状況が起きています。これはまさに供給力不足によるインフレです。
この人手不足・供給力不足に対して、設備投資(機械・ロボット・AI・ITの導入)を行うことが重要です。これにより、一定のインフレを抑える効果が期待でき、企業による投資が増えることで経済も成長します。
アナログ規制10000条項の一括見直しも2024年夏にほぼ完了し、建設現場の目視点検がドローンや遠隔カメラにかわったり、農地の実地監査が衛星画像で対応できるようになるなど、大幅に効率化が進むとともに、スタートアップの成長機会になっています。引き続きテクノロジーの社会実装を阻む規制改革を進めていきます。
サービス業では勤怠管理や経理のクラウドサービス、飲食業ではモバイルオーダーや電話予約対応のAI、ビルメンテナンス等では清掃ロボット、医療・介護分野では音声入力ソフトなど、それほど大きな金額でなくても30%以上の省力化ができている現場が多くあります。
今、まさにアメリカも必死で取り組んでいますが、製造業の国内回帰にも対応できるよう、大規模な設備投資減税を実現するとともに、地域の中小・小規模事業者の省人化投資を5年間で官民で60兆円の投資を目標に徹底的に支援していきます。あわせてM&Aによる成長もやりやすくなるよう、のれんの非償却化の会計基準見直しなども進めていきます。
特にロボットは人手不足の多くの分野で需要があり、すでに各所で活躍しはじめています。政府としても研究開発を後押しし、ロボット産業を立ち上げていくことで、世界と競争できる成長産業になるよう取り組んでいきます。