(労働市場にネガティブ/ニュートラル)

・平均時給の伸び、市場予想を下回る ・週当たり労働時間は短縮 ・労働参加率が低下 ・完全解雇者の労働力人口の割合が2021年11月以来の高水準近く(労働力人口の減少に伴う) ・就業率は60%割れ、2022年1月以来の低水準を維持 ・長期失業者の割合が上昇

以下は、今回の雇用統計の詳細。

〇非農業部門就労者数

米5月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比14.7万人増となり、市場予想の11万人増を上回った。前月は13.9万人増→14.4万人増と上方修正され、過去分を含め好結果となった。

NFPの内訳をみると、民間就労者数は前月比7.4万人増と市場予想の10.5万人増を下回った。前月の13.7万人増(14.0万人増から下方修正)を下回り、24年11月からの増加トレンドで最小の伸びとなる。民間サービス業は6.8万人増と、前月の14.1万人増(14.5万人増から下方修正)に届かず、8カ月ぶりの低い伸びだった。

チャート:NFPと失業率

(出所:Street Insights)

チャート:民間就労者数は24年11月からの増加トレンドで最小の伸び

(出所:Street Insights)

4月の1.1万人の上方修正(14.7万人増→15.8万人増)と合わせ、過去2カ月分で1.6万人の下方修正となった。これで、2023年以降では、29回のうち9回目の上方修正(20回は上方修正)となった。

チャート:NFPと修正幅(グレー枠は2023年以降の修正幅)

(出所:Street Insights)

サービス部門のセクター別動向は11業種中で8業種で増加し、前月の速報値ベースと一致した。

今回最も雇用が増加した業種は政府で前月比7.3万人増と、24年3月以来の強い伸びだった。連邦政府の減少を州・地方政府が完全に相殺した。しかし、カリフォルニアやニューヨーク、テキサスなど州・地方政府の多くは6月に年度末を迎えるため、季節調整要因でかさ上げされた印象。あるいは、政府効率化省(DOGE)による人員削減を受け、州・地方政府へ転職した可能性を示唆する。