GDP(付加価値)がまず各経済主体に分配され、次に第1次所得の配分勘定で財産所得の足し引きが行われて第1次所得バランスが残る事になります。

また、上式の各経済主体への分配は減価償却費に相当する固定資本減耗を含む(総)の数値となります。

2. 固定資本減耗とは

営業余剰(総)は、営業余剰(純)と固定資本減耗に分かれます。

内閣府の国民経済計算 用語の解説によれば、固定資本減耗は次のように説明されています。

固定資本減耗は、建物、構築物、機械設備、知的財産生産物等からなる固定資産について、これを所有する生産者の生産活動の中で、物的劣化、陳腐化、通常の破損・損傷、予見される滅失、通常生じる程度の事故による損害等から生じる減耗分の評価額を指す。他方、大災害による滅失のように予見し得ない固定資産の毀損額については、固定資本減耗には含まれず、「調整勘定」の「その他の資産量変動」として記録される。

固定資本減耗は、企業会計における減価償却費が簿価で記録されるのとは異なり、全て時価(再調達価格)で評価される。具体的には、固定資産ごとに、対応する資本財別の期中平均デフレーターを用いて評価されている。

企業会計で言えば営業余剰(純)は営業利益、固定資本減耗は減価償却費に近いものだと思えば、一般的な企業会計的な感覚で見ていただけると思います。

実際の企業経営をしているとわかりますが、減価償却費は毎年計上されますが、実際に支払っているお金ではありません。

固定資産への投資を行うと、取得した時点では貸借対照表(B/S)にて資産残高はプラスマイナスゼロです。

例えば一括して現金で1000万円の機械を投資したと考えましょう。

取得した時点では、金融資産の現金・預金が1000万円減り、固定資産の機械・設備が1000万円増える事になります。

この時点では、資産を資産に等価交換しただけですので、貸借対照表上はプラスマイナスゼロですし、損益計算書でも支出側に計上されません。