そう思っていた矢先、ズバリ、『常識』(ハート出版)というタイトルの本を手にした。宮崎正弘著で、副題が「コモンセンスで取り戻す日本の未来」。トランプ米大統領が就任時に挙げたスローガンと同じだ。「グローバリズムとは、マルクス主義の隠れ蓑だとトランプ政権は考えている」と宮崎氏の解説。マルクス主義は既存の常識を覆すところから始まる。
わかりやすかったのは次の話だ。
「2025年1月、法政大学のキャンパスで授業中に韓国人女子留学生が金槌で学生を殴り怪我を負わせた。驚いたのは、なぜ男子学生は闘わずに、すぐに警察を呼んだのかということだった」という件(くだり)。「人間として非常識である」と宮崎氏。
氏は、「男なら男らしく振る舞え!」と言いたかったのだろうが、そんなことを口にしようものなら、あらぬ嫌疑をかけられるのが、すでにマルクス主義に席巻された現在のドイツだ。男は長年、ちゃんとルールのあるスポーツの場でしか「男らしさ」を発揮してこなかったから、もはや金槌という武器には対応できない。
宮崎氏は続ける。
「この新型マルクス・ウイルスの策源地の一つはダボス会議である」。
「常識では各々の国は主権をもつが、リーダーが変わると法律が変わることがあり、多国籍企業にとっては都合が悪い。すなわちグローバリズムとは(略)彼らの都合の良いルールを取り決めて、その価値観を押し付けること」。
「ポリコレとキャンセル・カルチャーとは、まさしくコモンセンスの枠をぶちこわした左翼運動だった」。
まさに同感。その左翼運動の表舞台が、国連であり、EUだ。そして、最も熱心に常識を潰した貢献者に与えられる勲章が、ノーベル平和賞。そう見れば、脱炭素も、LGBTQも、移民・難民という名の民族移動も全て同根であることがわかってくる。
そして、それら官製の価値観が大手を振り、しかも不幸なことに、メディアがそれを「正義」として強力にフォローするため、国民はその状態に次第に慣れ親しんでいく。これは日本でも同じで、公共放送や一流新聞は本当のことしか報じないと信じている素直な人が、真っ先に洗脳されてしまった。これを打ち破らなければ、常識は戻ってこない。