例えば、台風は激甚化しておらず、ホッキョクグマは増えており、太陽光発電や風力発電は電気代を押し上げる。そして、気候が温暖化すると死亡率は下がる。暑さもうんざりだが、人間にとって本当に過酷なのは寒さなのだ。

さらに重要なのは、グリーントランスフォーメーションで経済成長はありえないということ。どれもこれも政治家やメディアや“研究者”が言っていることとは正反対。本の題名は『気候変動問題のウソとウソ』に変えた方がいい。

Weltwocheのオンライン版(6月29日)によれば、イーロン・マスク氏がXに次のような数字を投稿したという。中国の電気需要は過去25年で10倍になり、現在、年間1万TW(テラワット)。米国の需要は同じ期間にほぼ横ばいで、年間4000TW。一方、ドイツは600TWから500TWに減少した。ドイツの政治家とメディアはこれを、節電の成果だと自負している。そして、マスク氏は「これらの数字を覚えておいてください」と書いている(アクセス数6月29日の時点で2500万)。

そもそも、この25年間でどの国が一番経済成長したかは一目瞭然だ。電気の需要と経済発展は正比例する。だからこそ中国は、化石燃料も再エネも原発も、とにかく全ての電源を駆使してガンガン発電している。要は、どうすれば安い電気を安定的に供給できるか。

ところが、ドイツだけが逆方向に前のめり。EUの目標である2050年をさらに5年も早めて、45年までに脱炭素を完成するつもりだ。そのため10年間で150兆円を投資し、再エネを大量に導入する。しかし、太陽と風だけでは二進も三進もいかないことも承知なので、水素やアンモニアの燃料化、あるいはCO2の回収・貯留などを大々的に謳い、あたかも他の先進国より一歩先を進んでいるように見せかけている。

ただ、実際にはどれも高価で、実用には程遠く、本当にCO2を減らすには産業を縮小するしかない。要するに、「脱炭素で経済成長」は真っ赤なウソで、そんなことぐらい、普通の人なら常識でわかる。