今回ロイターが報じた内容では、「製品仕様書に記載されていない通信機器がインバーターに搭載されていた」とされています。しかし、私がここまで述べてきたような「オンラインでのリモートメンテナンス機能」は、通常であれば製品の仕様書や取扱説明書に記載されているはずです。というのも、ユーザー自身がWi-Fiに接続するなどの操作を求められるからです。

つまり、通信機能それ自体はあくまで“正規の機能”として明記されており、問題視されるものではありません。問題なのは、その正規のリモートメンテナンス機能を悪用し、所有者の意思とは無関係にインバーターを停止させることができてしまう点にあります。

そう考えると、ロイターの記事にある「製品仕様書に記載されていない通信機器」という表現は、文字通り“物理的に隠された機器”を指しているのではなく、「所有者の意図に反してインバーターを停止させる機能」や「外部からの遠隔制御を可能にする仕組み」を指している可能性があります。

つまり、通信機能そのものではなく、その“使われ方”や“制御権限の所在”が問題視されているのかもしれません。だとすれば、仕様書に記載された正規の通信機能を通じて、いかに不正な制御が可能かという点こそが、真に問うべき問題であるように思われます。