結論から言えば、現実的に取れる対策は限られています。もっとも確実なのは、「中国製の部品を含むインバーターは購入しない」ということです。
「インバーターをインターネットに接続しない」という選択肢も一応ありますが、その場合、メーカー側から「アプリに不具合があった場合、アップデートサービスが受けられなくなりますよ」といった“脅し文句”を投げかけられる可能性があります。
実際、あの国で開発されたアプリは不具合の発生頻度も高く、頻繁なアップデートが必要になるのが実情です。アップデートを受けなければ、機器がまともに動作しないといっても過言ではなく、「アップデートを行わない」という選択肢は、実質的に存在しないとも言えるでしょう。
一部の国会議員などの間では、「通信機器に関するリスクがないか確認すべきだ」あるいは「誰が遠隔で操作しているのかを把握すべきだ」といった議論もされています。しかし、これまで述べてきたように、どんなに制度的な対策を講じたとしても、インバーターの制御権限をメーカーから取り上げることは不可能です。
仮にインバーターの供給国が「国家動員法」などに基づいて、製品の停止を命じれば、メーカーの技術者が停止コマンドを送るのはごく当然の成り行きです。
結局のところ、確実な対策としては、「中国製の部品を含むインバーターは買わない」あるいは、「そもそも太陽光発電そのものを導入しない」という選択肢しかないのが現実なのです。
インバーター停止による影響
インバーターが大量に停止した場合、日本の電力システムにはどのような影響があるかを考えてみましょう。
日本の送電系統は比較的強固に設計されており、また夜間など太陽光発電が行われない時間帯でも、十分な電力供給が可能なように構成されています。そのため、仮に特定の市や自治体といった限定的な範囲で太陽光発電がすべて停止したとしても、送電線の過負荷や電圧の急激な低下といった問題が発生する可能性は低いと考えられます。