いったんクルージングを止めて誘い出しをしてみることになった。マグロが近くを泳ぎ回っているのは確実だ。ロッドを握る手にも力が入る。このタイミングでほかの船は誘い出しでマグロを掛けてファイト中ということだった。

この海上で今まさにマグロとの闘いが繰り広げられていると思うと、気持ちも高まりルアーをキャストする腕にも自然と力が入る。

巨大魚がヒットするもバラシ

幾度かクルージングと誘い出しを繰り返していた時、漁探にマグロが映ったとのことで、みんなでルアーをキャストし続けていると、ミヨシの仲間のルアーにすさまじい水柱が上がり走りだした。しかしその直後ラインブレイク。

仲間も私も何が起きたのか分からず茫然と立ち尽くしてしまった。船長いわく、近年まれに見るサイズだったとのことで、とんでもない魚と対峙しているという実感が不安をかき立て、それ以上にワクワクしてしまっている自分もいることに気がついた。

クロマグロがヒット

しばらく沈黙が続いたが、急に船のエンジンがかかった。すると眼前にはマグロのスーパーボイル。船が近寄っても沈まず、むしろこちらに向かって来るのではないか。

初めて見る光景に足がすくむ。そんな恐怖を払い飛ばすように船長の「マグロの向かう方向に投げて」の声。仲間のヒットや外れた、出た、乗らないの声。急いでマグロが来る姿を確認してルアーを投げ込む。狙った場所にルアーが入った。

アクションを入れて止めるを2回繰り返したところで大きな水柱が上がった。その瞬間、すさまじい勢いでドラグがうなった。ファーストランはすさまじい勢いであっという間に200mもラインが出された。

クロマグロとの激闘

仲間に体を支えられながらミヨシに上がって船のフォローに合わせてリールを巻く。マグロの走りはまだ止まらない。ラインの残りが50mになったあたりでやっと止まった。

ここからが勝負だ。とにかく巻ける時に巻く、走るときは待つ。船長の言葉や仲間の応援に励まされながら数メートルずつ間合いを詰めて巻いているとまた突然にマグロが泳ぎだす。突然の泳ぎに私自身も引きずり回される。