斯くてトランプの具体的な要求が明らかになった。それはコメと石油の輸入拡大であり、自動車への追加関税の受け入れであり、防衛費の増額だ。が、それらは、米国の貿易と財政の赤字解消に貢献でき、かつ目下の日本の国益に適うもの、を真剣に考えれば自ずと絞られる事項ではなかったか。手前味噌になるが筆者は4月1日、「トランプ関税:この90日間に日本が採るべき政策」で次の4項目を挙げた。
コメの輸入拡大・・向こう3年間、日本政府は備蓄用のコメ100万トンを関税ゼロで米国から買う、と提案せよ 石油・天然ガスの輸入拡大・・トランプの「Drill, baby, drill!」を満足させる案。米国には、ロシア産を買って欧州などに転売している中国とインドを牽制するための玉も必要だろうから、日本にはこれ以上回せないと言って来るかも知れないが、ならば余計に強く申し入れるべき 武器の輸入拡大・・究極のWin Win策。更に踏み込んで核ミサイル付の原子力潜水艦を10隻ほど買いたい、と申し入れよ 自動車の輸出戦略・・関税率ゼロは無理でも、日本の国益は国内生産台数の維持し、雇用確保ができるレベルまで引き下げるよう粘れ
2の絡みでトランプは先月下旬、本年12月販売を目指して英国よりも広い約8000万エーカーに及ぶアメリカ湾での石油・ガス生産権のリース販売を解禁した。同湾の埋蔵量は480億バレル、目下は日量180万バレル(米国の13%)を生産中だ。これはバイデン政権による国有地での新規石油生産の停止、沖合鉱区のリース販売の中止、生産者へのロイヤルティ料の引き上げ政策の転換である。
4に関連し、茂木元自民党幹事長がTV番組で、米国生産の日本車の輸出を提案すべき、と述べていた。が、茂木案は、米国と在米の日本車メーカーおよび日本の貿易外収支に資するだろうが、日本のGDPや雇用の確保には何も貢献しない。それよりもトランプが持ち出して遅きに失した感があっても、コメと石油を、来週といわず「今すぐ」に赤沢氏得意の電話でラトニック商務長官に提案すべきだ。