・感覚遮断や儀式参加など、極限状況で生じる「存在感覚」や幽霊・スピリチュアル体験の実験によって、脳の予測  処理モデルとの関連を探る研究

などワクワクするテーマに取り組んでいます。

今回ご紹介した「暗闇で誰かがいると感じる感覚」のように、脳や心と宗教・スピリチュアルな体験との接点を、実験と観察を通じて解き明かす先駆的研究機関と言えます。

彼女は以前、アイマスクや耳栓を使って視覚や聴覚を遮断する「感覚遮断実験」を行い、人が霊的な体験をするかどうか調べていました。

ところが驚いたことに、宗教的な背景に関係なく、多くの参加者が実験中に「部屋の中に誰かがいる気配がした」「誰かに見られているようで不安だった」と報告したのです。

それをきっかけにネナダロヴァ氏は、「なぜ孤独で暗い環境にいると、人は『見えない誰か』の気配を感じるのか?」という疑問を抱きました。

そこで今回の研究では「人間の内面にある不安や疑心」や「誰かが来るかもしれないという思い込み」、「個人が持つ性格や素質」という3つの要素に注目して調べることにしました。

果たして、暗闇や孤独は本当に脳を「誰かがいる」と信じ込ませてしまうのでしょうか?

実験で実証!暗闇と孤独が脳を「幽霊モード」にする

実験で実証!暗闇と孤独が脳を「幽霊モード」にする
実験で実証!暗闇と孤独が脳を「幽霊モード」にする / Credit:clip studio . 川勝康弘

では本当に、暗闇や孤独は脳に「誰かがいる」と信じ込ませてしまうのでしょうか?

この謎を解明するために、研究者たちはまず実験室を真っ暗にして、視覚や聴覚から得られる情報をできるだけ取り除くという環境を作り出しました。

実験の参加者は126名のチェコの大学生で、彼らは一人ずつ30分間、この真っ暗な実験室の中で過ごしました。

その際、全員がアイマスクと耳栓をつけ、視覚と聴覚をほぼ完全に遮られた状態になりました。

さらに研究者たちは、参加者の半数にだけ「もしかすると、実験中に誰かが誤って部屋に入ってくる可能性があります」と伝え、もう半数には何も伝えませんでした。