「別に御用学者をめざして研究してませんので、それで結構です。むしろ私と一緒に働きたいと言ってもらえる政権を、いつか作るべく今後も努力します」とでも返しておけば、遥かにスマートだったはずだが、任命拒否者のうちそう振る舞ったのは、わずかに宇野重規氏のみだった。
コロナで早々と「学問の自由」を放棄したカッコ悪さを、江戸の敵を長崎で討つ的に「学術会議で挽回だ!」と吶喊してすべてを失う顛末は、日中戦争の泥沼を「対米英開戦で打破できる!」と思い込んで、国を焦土にした故事そのままである。
まさに『それでも、学者たちは「戦争」を選んだ』だが、もしコロナがひと段落していたあのとき、日本学術会議が安易な自粛へのすり寄りを反省し、文理の枠を超えて「なぜ専門家はまちがえたか」を検証する提言でも出しておけば、いま学者への信頼度は雲泥の差であったろう。
……といった話もしている動画が、6月27日からYouTubeの「ニュースの争点」チャンネルに上がっている。かねてお知らせしている通り、ぼくの次の本は専門家に依存する社会の批判がテーマなので、その顔見世でもある。