日本が持つ、グローバルスタンダードとのギャップ

日本式の枠を超えた選択肢を。エンデバー・ジャパンが示す起業家支援とはの画像4
(画像=『Business Journal』より引用)

** ——日本において、エンデバーのネットワーク構築の障壁になりそうなことはありますか? **

小田嶋:やはり、エンデバーはグローバル基準でエンデバー起業家を選出し、ネットワークを形成しているので、そこに対してギャップが大きい点が障壁になると考えています。

 具体的には、「失敗を許容しない文化」があることですね。日本は、金額的な意味ではなく、信頼性などの心理的部分で失敗からのリカバリーが非常に難しいと感じます。

 たとえば、トランプ大統領はこれまで4回も破産申請を行っています。日本ではあまりこういった形で起業を繰り返す方は多くないですよね。

大塚:この文化が、影響力を持つ存在になり得る企業が登場することの妨げになってしまう可能性はあると感じます。

 エンデバーでは昨年、ユニコーン創業者がどういった経歴をたどってきたのかという調査を行ったのですが、BIG5(※1)やBIG3(※2)での勤務経験のほか、「ユニコーン企業の前に少なくとも1つのほかの企業を立ち上げ経営」した経験がある方、いわゆる連続起業家が多いという結果が出ています。

 日本では、連続起業家といえばIPOを行って、また企業を創業して、というイメージが強いですが、海外では、必ずしも先に創業した事業がうまくいっているケースだけではありません。

小田嶋:日本ではIPOを評価する風潮はありますが、事業の失敗に対してポジティブに興味を持って会話することが少ないですよね。失敗を言いたがらないし、聞いてはいけない空気がある。これは大きく変えなければいけない部分だと思っています。

 これはネットワークの構築だけでなく、企業そのものにとっても大きな機会損失です。

 実際に、非常に面白いアイデアを持っていたはずの企業が、失敗のレッテルを恐れるあまり、いつの間にか下請けのシステム会社に甘んじてしまう、というもったいないケースを非常に多く目にします。

※1: GAFAM(Google、Apple、Meta(旧Facebook)、Amazon、Microsoft) ※2: マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)、ベイン・アンド・カンパニー