起業家には周囲への影響力が不可欠

日本式の枠を超えた選択肢を。エンデバー・ジャパンが示す起業家支援とはの画像3
(画像=『Business Journal』より引用)

** ——それでは、エンデバーが支援対象となる起業家を選定する際、どういった部分を見ていますか? 日本、海外問わずVCの観点と大きく違う部分があれば教えてください。 **

小田嶋:VCとの決定的な違いは、起業家の「人間性」をかなり重視していることです。テイカーではなくギバーであるか、自身の成長が周囲にこう影響を与えられるか、などを見ています。

大塚:また、起業家としての資質とビジネスモデル、そのビジネス自体のインフレクションポイント(転換点)などを見て評価しているので、日本の市場で早々にIPOするかどうか、などの部分もあまり評価の基準にはなりません。

小田嶋:たしかに、それも大きな違いです。グローバル基準のため、日本のように「上場がゴール」という感覚はあまりないですね。

** ——エンデバーは「事業がスケールする」ということをどう定義しているのでしょうか? 人間性と事業のスケールアップをどうリンクさせているのかが気になります。 **

小田嶋:エンデバー起業家に選出された時点で、さらに売り上げ規模が10倍に増えるほどのポテンシャルがあるか? という、事業そのもののスケールアップももちろん重要ですが、エンデバーでは、その起業家、企業が存在することで「マルチプライヤーエフェクト」があるかどうかも「スケールするかどうか」という考え方に含まれています。

 つまり、起業家や企業が成長してネットワークを広げていくことで、周囲に新たな起業家や事業が増えていくかどうか、ということです。

 エンデバーでは、エンデバー起業家が創業した企業の数や従業員数、そのエンデバー起業家の出資額などを数値化しています。

大塚:最初にエンデバーが創設されたラテンアメリカでは、そのネットワーク構築の効果が顕著です。現在、ブラジルでユニコーン企業の創業者となっている方々の80%ほどが、エンデバーで支援しているスタートアップです。

 このように、傑出した個人は世界に並外れた影響を与えてくれます。彼らは社会をよりよくするだけでなく、周囲の起業家エコシステムの成長にも寄与します。並外れた個人の影響は一つの社会を超えて広がる、ということですね。

 起業家自身(個人)の人間性を重視しているのはそのためです。