「オープン化されたIVS」だからこそ、価値がある

 かつてのIVSは「男子校的」で「限られた人しか参加する権利がない」ような雰囲気だったと藤本氏は振り返る。

「正直、昔のIVSは“選ばれた人の場”で、自分とは無縁だと思っていました。でも今は違います。誰もが参加でき、誰もが発言でき、誰もが成長できる場。それを肌で感じられるのが、今のIVSです」

 IVSが毎年「ゼロからつくり直す」カンファレンスであることも、彼女が特徴的だと思う点だ。

「IVSは非効率なほど、毎年すべてゼロからつくっています。前例にとらわれず、必要な議論を必要な形で届ける。その姿勢が、日本のスタートアップに必要な“変化の力”を体現していると思います」

 一般化され誰もが参加できるようになってから、IVSは今年で3年目を迎える。藤本氏は、この「3年目だからこその変化」に大きな期待を寄せる。これまでは、さまざまなセッションがごちゃ混ぜになり「おもちゃ箱」のような楽しさがあったIVSが、今年はテーマ別のセッション構成となり、「どこで何を得たいのか」「自分はどうするのか」といった問いを参加者に投げかける場へと進化している。

「見たことがないなら、来てください」

 最後に、藤本氏から読者へのメッセージを紹介したい。

「IVSに来たことがない人は、ぜひ一度覗いてみてほしいです。“スタートアップ関係ないし”と思っている人にこそ、見てほしい。そこには、熱があります。成長したいという想いがあります。そして、それを実現する仲間がいます。日本の未来をつくるエネルギーを、ぜひ感じてほしい。『来て損はさせない』と言い切れる場所です」

「日本のスタートアップエコシステムに関わるのであれば、IVSを見ておかないともったいない」とまで言い切る藤本氏。そして、何度も参加したことがある人に対しても、「毎年すべてゼロから運営しているIVSは、過去の経験だけでは測れない“今年の面白さ”が必ずあります」と断言する。代表の島川氏が最も大切にしている「参加者全員にとって実利があること」という考えのもと、参加者にとって必ず何か得られるものがあるように、運営チームが心を込めて作り上げているのがIVSなのだ。

 藤本氏の言葉からは、IVSが単なるイベントではなく、日本のスタートアップエコシステムの未来を共創する、生きたコミュニティであるという強いメッセージが伝わってくる。今年のIVSがどのような熱狂と発見を生み出すのか、期待せずにはいられない。

(文=UNICORN JOURNAL編集部)