「IVS JAPAN」――地域の可能性を、スタートアップの力で“可視化”する

 今回、藤本氏がディレクターとして力を入れるのが、「IVS JAPAN」ステージだ。

「地域には大きな可能性があるのに、それがまだ“見える化”されていないことが課題だと感じています。だからこそ、今回の『IVS JAPAN』ステージを通じて、各地域のスタートアップエコシステムの魅力を、より多くの人に知ってもらう場にしたかったんです」

 このステージには、京都府・京都市に加え、全国の自治体、地銀、研究機関が登壇する。東京と京都がタッグを組むセッションや、地方銀行が一堂に会するパネルなど、地域と都市、官と民を横断する構成になっているのが特徴だ。

 特に注目すべきは、京都府知事、東京都副知事、京都銀行頭取が登壇するセッションだ。

 ここでは、地域間の共創を軸としたスタートアップ政策、東京と京都の連携による国内外へのPR戦略、そして10年間で1000億円のスタートアップ投資を通じた地域経済とエコシステムへの還元について議論が交わされる。

「日本の最大の魅力は、47都道府県それぞれに異なるアセットがあることです。技術、文化、研究、人的ネットワークなど、多種多様な強みが全国に点在しています。これら全てを繋ぎ合わせられるのが、まさに今のIVSだと信じています」と、藤本氏は力強く語った。

 藤本氏自身、東京に住み、東京都のスタートアップ戦略アドバイザーも務めている。しかし、彼は「東京だけで日本のスタートアップエコシステムが作られるわけではない」という強い思いがある。地域の歴史、技術、ネットワークがあってこそ、日本全体の魅力が引き出され、東京と地方の相乗効果が生まれると考えている。IVS JAPANの3日間は、まさにこの思想に基づいた明確なストーリー構成を持っている。

** 1日目 ** :「現在地を知る」 各地域のエコシステムで何が起きているのかを「知る」ことに焦点を当てる。

** 2日目 ** :「深める」 地域金融機関が一堂に会する機会を設けるなど、カテゴリーを絞って「理解を深める」。東京と京都のような2地域が連携することで何が起こるのか、その可能性を探るセッションも組まれている。

** 3日目 ** :「未来を描く」 自動運転やAIが地域の課題解決にどう貢献するのかなど、新技術を地域にどう活かすか、といった未来志向のセッションが展開される。内閣府が発表した「スタートアップエコシステム拠点」の新拠点の紹介もあり、エコシステムの今後の発展を知る機会となる。  「IVSは“何を見つけに行くと、何が得られるのか”が明確になりつつあり、3年目の今ようやくそれができるようになってきた」と、藤本氏はその進化に自信を覗かせた。