「今、IVSに関わる意味」――日本のスタートアップの“現場感”を持ち帰る
「IVSは日本のスタートアップエコシステムを体感できる、いわば“現場の集大成”のような場所です。世界中のカンファレンスを見て回った私にとっても、ここでしか得られない熱量と視点があります」
そう語るのは、一般社団法人スタートアップエコシステム協会代表理事であり、「IVS JAPAN」のテーマゾーンおよび「Empower HER」ステージのディレクターを務める藤本あゆみ氏だ。

大学卒業後、キャリアデザインセンター、そしてGoogleで法人営業を経験。その後、2016年にat Will Workを設立し、続いてお金のデザインでPR・マーケティングを、Plug and Play JapanではCMOを勤め、在籍中の2022年にはスタートアップエコシステム協会を設立し、代表理事に就任。さらに、Plug and Play退社後、2024年11月からはA.T. カーニーのアソシエイテッドスペシャリストアドバイザーも兼任。現在は、東京都スタートアップ戦略フェロー、文部科学省アントレプレナーシップ推進大使、内閣府規制改革推進会議スタートアップ・イノベーション促進ワーキンググループ専門委員など、多岐にわたる要職を務め、政府のスタートアップ政策策定にも深く関わっている。
藤本氏のキャリアにおいて、最も長く携わったGoogleでの経験は、現在の活動の原点となっている。2007年から2015年までGoogleに在籍し、YouTube買収直後の変革期に立ち会った彼女は、「検索だけの会社」から「人々の世界を変える会社」へと成長するGoogleの姿に深く感銘を受けました。この経験こそが、「Googleのような会社をもっと多く生み出す仕組みを作りたい」という強い思いにつながり、スタートアップ支援の道へ進むきっかけとなった。
「一人で一つの会社に関わるだけでは、その会社の成長スピードをどう上げるか、という点にフォーカスしてしまいます。しかし、私自身が支援側に回れば、より多くのスタートアップに関わり、その成長に貢献できると思っています」
彼女の活動は、まさに日本のスタートアップエコシステム発展の最前線を走るものだ。そんな彼女のIVSとの関わりは2023年から。IVS代表の島川敏明氏との出会いがきっかけで、コミュニティイベントから1万人規模のカンファレンスへと進化を遂げたIVSを「グローバルのカンファレンスと遜色ないものにする」という目標に共鳴し、その運営に参画したという。GoogleやPlug and Play Japanなどで培ったグローバルとローカル両面の知見を武器に、今やIVSの“多様性と地域創生”という両輪を牽引する立場にいる。