「おっしゃる通りだと思います。昨シーズンで堀監督にやっていただいて、大枠の提示は終了しているところもあると思うので、今シーズンはキャンプなど事前に準備もありますし、そこからどういうふうに変化をつけていくかというところが大きなテーマになります。たとえばポジショニングにしても、スタートポジションのところはみんな理解している。そこからどうやって変化していくんだというところです。秩序と自由をどうバランスを持ってピッチ上で表現できるかというところがカギになると思っています」

楠瀬前監督時代の勝ち点取りこぼしが、昨シーズン終盤の選手心理の乱れに繫がったことを想起させる工藤SDの言動に、筆者は違和感を覚えた。

昨シーズン終盤3試合の失速でWEリーグ3連覇を逃した事実のみならず、攻撃配置の不具合を堀監督が修正できなかった点も踏まえると、楠瀬監督の解任を断行したクラブ首脳の判断は誤りだったと言える。WEリーグ3連覇の可能性が十分に残されていた状況下での監督交代に、合理的な理由は見当たらない。優勝争いの最中(さなか)監督交代が行われたことへの動揺が、選手のパフォーマンスや士気に悪影響を及ぼしたのは明白だ。

工藤SDによる前述のコメントは浦和RL公式サイトにも掲載されており、同氏の言動への不快感が多くの浦和サポーターによってSNSに綴られている。同クラブは6月20日にクラブ公式サイトを通じ、「浦和レッズというクラブは、勝敗や成績と真摯に向き合う中でも、誰か一人に責任を集中させるのではなく、組織としての課題を共有し、乗り越えることで、より強いチームを築いていくことを大切にしています」と発信。「今後は、みなさまに正しく伝わる、丁寧で誠実な発信を徹底し、クラブとファン・サポーターのみなさまとの信頼関係をより一層強く築いてまいります」とも宣言している。この宣言内容と矛盾するコメントが工藤SDから発せられたことで、浦和サポーターからの信頼回復が非常に困難な状況となってしまった。サポーターとの一体感を醸成するために、クラブとして何を発信すべきか。工藤SDを含め、浦和RLの首脳陣はこの点を省みる必要がある。