なすびの懸賞生活の番組とその後を描いた「ザ・コンテスタント」を監督したのは、クレア・ティトリー氏である。
ネットで番組のことを知り、なすびにドキュメンタリー化の話をもちかけた。「私が目にした内容の多くは、誹謗中傷に近かった。なすびに何が起きたのか、深く語るものはなかった。彼はなぜあの場所にとどまったのか、それが彼にどういう影響を及ぼしたのか……など、疑問が残った」という(BBCニュース、2024年6月21日)。
英国で制作され、2023年9月、カナダのトロント国際映画祭で上映された。その後は米英で公開。米配信サービス、Huluでも視聴できるようになった。
今年6月、英BBCで放送された。BBCは無料オンデマンドサービス「アイプレイヤー」を提供しているので、何度も視聴可能だ。
裸で、部屋の中で懸賞に応募する毎日
改めて、どんな番組だったのかを記してみよう。
「進ぬ!電波少年」は「運だけが頼りの企画」を開始するため、オーディションを開催した。若いタレントたちの中からくじ引きを当て合格したのが、当時22歳のなすびだった。
番組は「人は懸賞だけで生活をしていけるか」をテーマに掲げて放送され、なすびは「電波少年的懸賞生活」(放送は1998年1月から1999年4月)のチャレンジャーとなったのである。
裸でアパートの一室に監禁されたなすびは、様々な懸賞に応募する日々を送った。日本と韓国を舞台に1998年から1年3ヶ月にわたってそれぞれの目標商品総額(日本では100万円、韓国では日本までの片道飛行機代)を達成する。
先のBBCの記事によれば、なすびは「自分が撮影されていることは知っていたが、その映像がどこで使われるのかは、あいまいな説明しかされていなかった。テレビで放送されることは、おそらくないだろうと思っていた」。懸賞生活中にテレビを当てたものの、ケーブルやアンテナがなくテレビ番組を見ることができなかった。