たとえば約100年前にオルテガは、「国家は、一つの行為の計画であり、協同作業のプログラムである」(オルテガ1930=1979:519)と書いた。
これは革命や暴動とは異なるデモクラシーの枠内で、国家目標における社会的課題達成を論じる捉え方である。だから、現在の少子化対策に応用すると、「ある共通の事業によってみんなで共同して生きる計画であり、もう一つはこの魅力的な計画をすべての人が支持することである」(同上:532)への視点が見えてくる。
というのも、「国家はあらゆる瞬間にどこからか来てどこかへ行くものである。あらゆる運動と同じく、国家は起点と目標をもっている」(同上:520)からである。
少子化克服という国家目標
日本政府は一日も早く世論の最大公約数が支持する「少子化高齢社会」適応計画を速やかに作り上げて、実行する義務があるという信念とともに、2005年の「還暦社会」という時代の講義として、社会調査の理論と技法と実習を授業では受け持っていたことになる。
政治の本質と時代の要求
「少子化する高齢社会」を経て、20年後の2025年では「傘寿社会」、そしてまもなく「米寿社会」が「縮減社会」として到来する。
それらの対応を考えるうえで、「国家は協同作業のプログラム」という定義ほど適切な内容はない。費用と期間と人的資源を軸とした論点を国民全体で熟議して、速やかな決定をしたうえで、具体的な行動を開始したい。政治の本質は好機を逃さずに時代の要求を認識するところにある。
社会調査士資格
さて、大学でとりわけ社会学を学んだ証しとして、一般社団法人・社会調査協会による「社会調査士」という資格が21世紀初頭から認定されるようになってから、社会学部や社会学科ではますます社会調査の理論と実習が重要になってきた。
なぜなら、都道府県庁や市役所や町村役場に就職を希望する社会学専攻生が「社会調査士」という資格を持っていれば、法学部や経済学部から就職を希望する学生よりも採用の可能性が高いという「神話」が形成されたからである。