下野:ええ、そうです。福井駅と恐竜博物館の間あたりに永平寺がありますので、もしかしたら通られたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。

玉村:なるほど。昔、若狭の方に原発を見に行ったことがあって。福井県庁にも知り合いがいたりするので、もしかしたらつながりがあるかもしれませんね。

下野:ああ、そうですか!地元で就職すると、県庁や市役所、銀行、先生などが多く、私の高校の同級生もたくさんいます。

キャリア官僚への道と厚生労働省を選んだ理由

玉村:そうなんですね。さて、下野様は、いわゆるキャリア官僚として入庁されたと考えて大丈夫でしょうか? そして、そもそもなぜ厚生労働省だったのかをまずお伺いしたいです。

下野:はい。大学3年から就職活動を開始した際、民間か国家公務員かの選択肢があり、決めきれなかったため、公務員試験の勉強と民間の就職活動を並行していました。当時の国家公務員試験は、合格しても全員が採用されるわけではなく、「官庁訪問」という面接を経て内定を勝ち取る仕組みでした。試験合格者の約半分は行き先がないという状況でしたね。

玉村:試験に通っても先がない方がいたんですね。そういう方はどうなるんですか?

下野:一つは民間企業に進みます。もう一つは、合格者の権利は残るので、翌年の官庁訪問に再挑戦するという方もいました。実際に私の厚生労働省の同期にも、一度ダメでしたが、翌年受かった方がいました

玉村:そうなんですね。その中で、なぜ厚生労働省を選ばれたのでしょうか。

下野:やはり、できるだけ世の中に大きな影響を与えたいという漠然とした思いがありました。官公庁、特に国は法令を扱い、それが社会の仕組みや制度を規定し、全てがそれに従って動いています。その根本を変えられるのが国の法令事務官の仕事だと感じ、そこに魅力を感じたのが一つです。省庁は色々ありますが、厚生労働省は人の一生、生まれる前から死ぬまでに関わる制度を扱っており、最も身近で、仕事の中で人の生活を感じられるのではないかと思ったからです。

厚生労働省時代の業務と意思決定プロセス