オンラインレビューには、本を読んで支持者になったという声が多数見られ※28)、支持者が物理的な書籍を自身の社会的ネットワーク内で共有することで、オフラインでのメッセージ拡散にも貢献している。

党が「学び」を強調し、党員であることを政治学校(「DIYスクール」)への参加と位置づけるアプローチは※19)、日本文化における自己啓発や集団学習の価値観に訴えかける、極めて効果的な動員戦術である。これにより、政治参加のハードルが下がり、「共に真実を学ぶ」という経験を通じて、メンバー間に強固な連帯感が育まれる。

第5章:論争と対決の結節点

5.1 「陰謀論」という批判

参政党が最も激しい批判にさらされているのが、「陰謀論」との関連性である。学術誌やジャーナリズムは、党の主張のいくつかを陰謀論的であると指摘している※5)。

論争の的となっている主な主張は以下の通りである。

COVID-19とワクチン:ウイルスの人工起源説、mRNAワクチンの危険性(不妊や免疫不全のリスクを含む)、ワクチン義務化やWHOの「パンデミック条約」への反対※19)。 グローバリストの影響:ジョージ・ソロスのような「国際金融資本家」が利益のために国政を操っているという、漠然としながらも執拗な言及※45)。 食と健康:加工食品や化学添加物の危険性、製薬業界と食品業界の癒着に関する主張。

この対立は、単なる政策上の意見の相違ではない。何が証拠として認められるのか、誰が信頼できる権威なのか、そしてどのように真実を決定するのかという、認識論(エピステモロジー)レベルでの根本的な不一致である。

参政党とその支持者は、事実上、主流の認識論的コミュニティから「離脱」している。彼らは主流科学やメディアからの情報を、それ自体が腐敗し偏っているとして初めから拒絶し、代替的な情報源(特定の医師、オンラインのインフルエンサー、党自身のメディア)を優先する。これにより、異なる世界観の間での合理的な対話はほぼ不可能になっている。

5.2 修辞戦略:「知的怠慢」という反論