参政党を日本の政治地図の中に位置づけることで、その特異性がより明確になる。
対 自由民主党:参政党はLDPよりもイデオロギー的に硬直的で、より公然とナショナリスティックであり、根本的に反グローバリズムである。これは、LDPの実利的、親ビジネス的、そして親米同盟的な保守主義とは対照的である。参政党は、LDPの支持基盤の中から最もイデオロギー的な保守層の一部を引き抜いている※19)。 対 日本保守党:同じく新しい右派政党である日本保守党との比較も重要である※46)。両党ともに保守的・ナショナリスティックであるが、参政党が「食と健康」や特定の陰謀論的要素を強調するのに対し、保守党はより伝統的な安全保障や歴史問題に焦点を当てており、異なるライフスタイル志向の層にアピールしている。 対 れいわ新選組:左派ポピュリズムの代表格であるれいわ新選組との比較は、現代日本のポピュリズムの性質を浮き彫りにする※23)。両者は共に反既成政党的なレトリックを用いるが、その「敵」は異なる。れいわが国内の経済エリートや緊縮財政を攻撃するのに対し、参政党は外部の「グローバリスト」勢力を標的とする。その診断と処方箋は、鏡像の関係にある。
参政党の出現は、これまでLDPという「大きなテント」の下にまとめられてきた日本の保守主義が「アンバンドリング(分解)」しつつある可能性を示唆している。参政党や日本保守党は、より純化され、イデオロギー的に先鋭化した「ブティック型」の保守主義を提供している。参政党は、その中でも「反グローバリズム、健康志向、伝統主義」というニッチ市場を開拓した。
6.2 将来の軌跡:可能性と落とし穴参政党の将来には、大きな可能性と同時に深刻な課題も存在する。
機会:政治不信の継続、将来の健康危機や経済危機が支持層をさらに活性化させる可能性、そして強力な組織・メディア基盤が挙げられる。地方選挙での成功は※15)、将来の国政選挙に向けた足がかりとなる。 障害:そのニッチなアピールが「ガラスの天井」になる可能性がある。さらなる成長のためには、最も物議を醸す主張を穏健化させる(しかし、それは中核的な支持層を遠ざけるリスクを伴う)か、あるいはそれらの主張を主流派にも受け入れられるようにする方法を見つける必要がある。また、党が成長し多様化するにつれて、内部の結束を維持することも課題となるだろう。
参政党の長期的な成否は、日本の民主主義制度と公共圏の強靭さを示すリトマス試験紙となるだろう。