参政党のユニークなイデオロギー的位置づけを明確にするため、その政策を自由民主党(LDP)および同じく反既成政党であるれいわ新選組と比較する。
政策分野 参政党のスタンス 自由民主党のスタンス れいわ新選組のスタンス
経済政策 国富の防衛、反グローバリズム。経済政策の全体像は不明確。 親ビジネス、グローバル経済との統合推進。 積極財政、反緊縮、消費税廃止※23)
外交・安全保障 反グローバリズム、国家主権の絶対視、防衛費のGDP比3%への増額※19) 日米同盟を基軸とし、防衛力を段階的に増強。 反米軍基地、外交努力を重視
公衆衛生(COVID-19) ワクチン接種義務化に反対、WHOパンデミック条約に反対※19) ワクチン接種の推進、国際機関との協調。 影響を受けた個人への経済的支援を重視
教育 伝統主義、「自尊史観」教育の推進※11) 伝統主義的要素と改革主義的要素が混在。 教育の無償化、学生支援
移民政策 外国人労働者の増加抑制、外国人参政権に反対※11) 労働力不足を補うための外国人材の管理された受け入れ。 国籍を問わず労働者の権利を重視
第3章:参政党支持層の解剖
3.1 新しい反既成政党の有権者:そのサイコグラフィック分析参政党の支持層を理解する鍵は、東京大学の研究グループによる分析にある※1)。この研究は、特にコロナ禍で新たに「反ワクチン」の立場をとるようになった人々が、参政党の支持基盤の中核を形成していることを示唆している。
この層の主な特徴は以下の通りである。
パンデミック以前は、従来の政治への関心が比較的低かった。 「スピリチュアリティ」「陰謀論」「自然・オーガニック食品」「代替医療」といったトピックに強い関心を持つ。 メディア、政府、科学界といった主流の情報源に対して強い不信感を抱いている。
この層にとって、パンデミックは一種の「政治的覚醒」のきっかけとなり、参政党は彼らが新たに抱いた世界観にぴったりのイデオロギー的受け皿を提供した。