参政党の制度化は驚異的な速さで進んだ。2020年に政治団体として結成され※4)、当初はオンラインでのエンゲージメントと書籍出版を通じて支持基盤を構築した※12)。

そして、2022年の参議院議員通常選挙で大きな躍進を遂げる。この選挙で、代表の神谷宗幣氏が議席を獲得しただけでなく、全国比例で約176万票を獲得し、得票率2%の国政政党要件を満たした※8)。これにより、政党助成金を受け取る公党となり、活動の安定基盤を確保した。

国政での成功と並行して、地方レベルでの拡大も着実に進められた。2023年の統一地方選挙では100名の地方議員を誕生させ、それ以前の31名から大きく勢力を伸ばした※15)。2025年3月時点で、所属地方議員は140名以上に達している※6)。

これらの地方議員の多様な職業的背景(元会社員、元公務員、元教員など)は、「普通の国民の党」というイメージをさらに強化する役割を果たしている※5)。

第2章:イデオロギーの枠組みと政策課題

2.1 中核哲学:保守的ナショナリズムと「反グローバリズム」

参政党の公式な理念と綱領を分析すると、その思想的核が明確になる※10)。

理念として掲げられる「日本の国益を守り、世界に大調和を生む」という言葉や、綱領にある「先人の叡智を活かし、天皇を中心に一つにまとまる平和な国をつくる」「日本の精神と伝統を活かし、調和社会のモデルをつくる」といった項目は、保守的でナショナリスティック、かつ伝統主義的な世界観を強く反映している。

特に重要なのは、党が自らを「日本初の反グローバリズムを掲げる政党」と位置づけている点である※19)。この「反グローバリズム」は、国際金融資本、外国資本、世界保健機関(WHO)のような超国家機関など、日本の主権を脅かすと見なされる様々な外部の力に対する反対意見を包括する、極めて重要なキーワードとなっている。