ロシアの強豪クラブは概ね、首都モスクワや、第2の都市サンクトペテルブルクなど、欧州寄りの西部に集中しているが、過去には遠く離れたウラル山脈付近や極東のシベリア地域に本拠地を置くクラブがRPL昇格を果たしたことがある。

代表的な例として、現在セカンドディビジョン(3部)に身を置くルチ・ウラジオストクが挙げられる。中国と北朝鮮との国境近くのウラジオストクを本拠地とし、2006/08シーズンにはRPLに所属していた。

ウラジオストクはモスクワから東に約6,400キロ、飛行機でも約9時間。シベリア鉄道では約1週間かかり、7時間の時差もある。東京やソウル、北京の方が近く、実際ロシアによるウクライナ侵攻前には成田空港と関西空港からウラジオストクへの直行便も飛んでいた(ちなみにフライト時間は約2時間26分)。気候も厳しい。夏は30度を超える気温で湿度も高く、冬はマイナス15~20度まで冷え込む。ウラジオストクに限った話ではないが、RPLを開催するスタジアムでは人工芝使用が許可されている。

例えばウラジオストクからモスクワ遠征となれば、当然ながら高額な飛行機代のみならず、宿泊費が必要となる。体力も消耗する。サポーターは日程調整が難しく、経済的負担も大きい。それはモスクワに本拠地を置くスパルタク・モスクワやCSKAモスクワのサポーターがウラジオストクへ遠征する場合でも同じだ。

同様の例としては、ウラル山脈の南のカザフスタン国境近くを本拠とするFKオレンブルグも、アクセスの悪さと移動時間の長さがサポーターに負担を掛ける。冬の寒さも相まって、選手もサポーターも過酷な遠征を強いられる。空港がないわけではないが便数が少ないため、サポーターは長距離バスや列車を使うことが多く、時間と体力の消耗が大きい。

ウェリントン・フェニックス サポーター 写真:Getty Images

ニュージーランドからオーストラリア、試合の度に国際線