【完了】手数料ゼロで急成長!米ネオバンクChimeがIPO、見捨てられた層を顧客に変えた異端モデルの画像1
(画像=『Business Journal』より引用)

●この記事のポイント ・米Chime Financialがナスダック市場へと新規上場を果たした。自社で銀行ライセンスを持たず、既存の銀行と連携するネオバンクと呼ばれる業態。その特徴は、従来の銀行が主要顧客としない層をターゲットとしている点にある。一人ひとりから得られる利益は小さくとも、巨大な市場が存在することを改めて浮き彫りにした。

 Chime Financialが6月12日、ナスダック市場へと新規上場を果たした。2019年にシリーズDの調達で評価額が15億ドル(約2200億円)を超え、ピーク時には250億ドル(約3兆6800億円)もの価値がついたフィンテック業界のユニコーンだ。

 Chimeはいわゆる「ネオバンク」と呼ばれる業態で、自社で銀行ライセンスを持つことはなく、既存の銀行と連携をすることでサービスを提供する。「Everyday Americans(一般的なアメリカ人)」、すなわち年収10万ドル(約1470万円)以下の金融サービスに不満を抱える層に特化しているのが特徴だ。

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(画像=元データ:Chime_financial results)

「顧客を搾取するのではなく、メンバーと共に利益を上げる」という思想を掲げ、わずか10年余りで860万人以上のアクティブメンバーを擁する米国最大のネオバンクへと成長した。売上高は2024年には16.7億ドル(約2460億円)もの規模に達し、調整後EBITDAベースでは2025年第1四半期に2509万ドル(約37億円)の黒字を達成している。

 本記事では「手数料無料」「給与先払い」などユニークな戦略で従来の銀行の真逆をいく顧客獲得戦略を進めてきたChimeの事業モデルについて、上場時の目論見書をベースに紐解いていく。