脳波が規則的な波ではなく、不規則でランダムな状態(傾きが大きい状態)になると、脳内の情報整理がより活発になり、目覚めた後のひらめきを促しているのではないかと考えられるのです。

「ゆらぎ」のような不規則な脳波が「ひらめき」を生む理由

私たちの脳は起きている間、たくさんの情報を取り込み続けています。その中には役立つ情報もあれば、あまり役に立たない情報も含まれています。そのままでは、脳の中は情報でいっぱいになり、混乱してしまいます。そんな脳内の混乱を整理する重要な時間が「睡眠」なのです。

眠っている間、脳は昼間に取り込んだ情報を整理し、不要な情報を取り除き、大切な情報だけを残します。特に「深い眠り」(専門的にはN2睡眠)に入ると、脳の中の整理作業が本格化すると考えられています。

ここで面白いのが、脳の働きが活発になって情報を整理するとき、脳波が「規則的な波」ではなく、「ゆらぎ」のようなランダムで不規則なパターンになることです。この不規則な脳波の状態を専門的には「スペクトルスロープが急になる」と表現しますが、簡単に言えば、脳があえてランダムで不規則な状態になることで、自由に情報を動かしやすくしているのです。

このような状態になると、脳は思い切って不要な情報を取り除き、本当に役立つ情報を新しい形でつなぎ直します。そのため、目覚めた後には今まで気づかなかった視点やアイデアに突然気づき、「ひらめき」が生まれることがあります。

つまり、睡眠中の脳波の不規則な「ゆらぎ」は、脳内の整理作業を助け、目覚めた後の「ひらめき」を生み出すための大切な準備をしている痕跡の可能性があるのです。睡眠を大切にすることで、私たちはもっと豊かな発想や問題解決の力を手に入れられる可能性があるのです。

日常生活の中でも、「短い昼寝をすると頭がすっきりして、新しいアイデアが浮かんだ」という経験を持つ人は少なくありません。