昨今、「退職代行」という言葉を耳にする機会が増えました。これは、社員に代わって企業に退職の意思を伝えるサービスのことです。
このサービスが利用されると、退職する社員が担っていた業務が滞るだけでなく、残された社員の精神面にも影響を及ぼす可能性があります。
そのため、企業として退職代行が使われないような組織を目指さなければなりません。
本記事では退職代行サービスの概要や使われる原因、人材が流出しない組織にするためにできるマネジメントを解説します。
退職の原因をなくして人材の定着をうながし、継続的に成長できる企業を目指しましょう。

inomasa/iStock
退職代行とは社員本人に代わり退職の意を伝えるサービス
「退職代行サービス」とは、社員本人に代わって勤務先に退職の意向を伝えたり、手続きをサポートしたりするサービスです。
退職の意向は本人が伝えるのが基本ですが、従業員が人間関係や職場環境に悩まされている場合、退職代行が利用されるケースがあります。
最近よく耳にするようになった言葉かもしれませんが、実は、退職のサポート自体は10年以上も前から行われていました。
かつては弁護士が依頼を受け、本人に代わって企業に退職の意向を伝え、賃金未払いといったトラブルを解決してきたのです。
その後、2017年5月に新野俊幸氏が「辞めづらさ」を疑問視して退職代行会社「EXIT」を設立したことがきっかけとなり、退職代行サービスが広がりをみせました。
退職代行サービスが退職時に多く利用されている実態は、2024年にマイナビキャリアリサーチLabが公表した「退職代行サービスに関する調査レポート」(転職者や企業の人事担当者対象)からも伺えます。
この調査によると、直近1年間での退職代行サービス利用者は16.6%という結果になりました。
上司からの引き止めやトラブルへの発展などを懸念する際、「職場の人と直接やりとりをする必要がない」という点が大きなメリットであり、近年利用は増加傾向にあるのです。