新総裁の下で一致団結、政策力・実行力に基づいた真のドリームチームを作ってもらいたい。そして、大切なことは、国民の共感を得られる政治を実現することだ。それができる総裁かどうか、私自身も自分の1票をしっかり見定めて投じていきたい。
「しっかり見定めた」結果、一回目の投票で国会議員票(72対46)でも、党員票(181対154)でも高市早苗の後塵を拝し、自民党を6連覇させた安倍氏を背後から撃ち続けた石破茂を、二回目の投票で総裁に押し上げるべく岸田が管と共に動いたのである。石破には「政策力・実行力」に加えて人望も定見もないからこそ、万年総裁候補であり党内野党だったのある。「国民の共感を得られる」道理がない。
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長年党内野党で万年総裁候補であり続ける石破のような人物は、政権批判と総理になること自体がいつの間にか自己目的化してしまう。そこが、初当選の時から総理に成ったら何をするかを書き留めていた中曽根康弘と石破の違いである。こうして念願の、あるいは図らずも総理総裁になった石破の、振り返るのもおぞましいほどのこの8ヶ月間のお粗末、あるいは変節の数々だが、それに触れないことには本稿の埒が開かない。
先ずのお粗末、あるいは変節は、否定していた早期解散を平気でしたことである。斯くて行われた選挙でも、先ず不記載議員に党員停止や役職停止の再処分を食らわせ、更に彼らの公認と比例復活を取り消して念を入れ、最後に選挙戦終盤で非公認にした候補者の党支部に2000万円を配り、岸田の退任で消えかけた「裏金問題」の炎をこれでもかとばかり有権者に蘇らせてダメを押した。
ここまで油を注げば、自民の惨敗は火を見るより明らかだ。自公与党は、自民が247議席から56議席減らして191議席、公明が32議席から8議席減の24議席、合計で64議席減の215議席となり、石破が勝敗ラインとした過半数の233議席を18議席も下回る歴史的惨敗を喫した。与党の過半数割れは民主党政権が誕生した2009年以来15年振りのことだ。