第三に、地方自治法及びその施行令においても同様の規定が置かれているが、多少規定振りが異なる。例えば、会計法では、「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」とされているところ(上記参照)、地方自治法(施行令)では、「随意契約によることができる場合」として、契約の「性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」とされている(地方自治法施行令167条の2第1項2号)。

第四に、地方自治体が随意契約を行う際、しばしば「○号随契」と呼ばれることがあるが、これは今触れた地方自治法施行令167条の2第1項の各号に、随意契約が認められる事情が列挙されていることに基づく。先ほど挙げた「競争入札に適しない」場面は、「2号随契」である。よく見かけるものは以下の5つである。

1号随契:予定価格が一定額を超えない契約 2号随契:契約の性質又は目的が競争に適しない場合 5号随契:緊急性を理由とするもの 6号随契:競争入札に付することが不利となるもの 8号随契:不調・不落を理由とするもの

このうち直近において、その問題性がしばしば報道で取り上げられるのは、1号と5号である。以下、この点について少し掘り下げて論じることとしよう。

1号は、金額の少なさを理由に随意契約が認められ、発注機関にとっては説明が容易であるのでその利用に躊躇がない。しかし、少額随意契約が認められるその趣旨は、競争入札の手間暇をかけるだけのスケールメリットがないからであり、裏を返すと一定を超える案件は競争入札による効率性のメリットの方が大きいと判断されるのである。従って、随意契約の方が楽だからという理由で、工事を分割したり、ロットを小さくしたりしてこの枠に収めて随意契約を実施することは不適切である。

5号は、競争入札をする時間的な余裕のない場合に許される方式で、一般的には2、3日の余裕すらないケースが想定されている。ただ、地方自治法施行令は「随意契約によることができる場合」として規定されているので、国の場合よりも多少の幅があるという解釈も可能であるが、実務上は急を要する災害対応あるいはそれに準じる場合にのみ適用されているのが実際である(もちろんそこまで厳格ではない自治体もあろうが、それ以外のケースに適用しようとして議会で紛糾したというある自治体のケースを見聞きしたことがある)。