今回の論文でも、男女間に明確な差が見られています:
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女性の損失回避係数(λ)は約1.4〜2.0(損失回避が強い)
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男性の損失回避係数(λ)は約0.8(損失回避が低く、むしろ利益を求める傾向がある)
損失回避係数(λ:ラムダ)とは、簡単に言うと、「人が利益よりも損失をどのくらい強く嫌がるか」を数字で表したものです。
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λが0に近いときは損失を全く気にせず100円得る喜びは感じても100円失う痛みは感じない状態です。
- λが 1に近いとき は、「同じ金額の損失と利益をほぼ同じくらいの強さで感じる」ことを示しています。
たとえば、100円得る喜びと100円失う痛みが、ほぼ同じくらいの強さで感じられる状態です。 -
λが 1より大きくなると、「損失を嫌う気持ちのほうが強くなる」ことを示しています。
たとえば、λが2ならば「100円を失う痛みは、100円を得る喜びのちょうど2倍くらいの強さで感じる」ということです。この場合、人は利益を追求するよりも、まずは損失を避けようとする傾向が強くなります。 -
逆に λが 1より小さいとき は、「損失をそれほど気にせず、むしろ利益を追い求める」状態を示しています。
例えば、λが0.5の場合、「100円を失う痛みは、100円を得る喜びの半分くらいにしか感じられない」ということで、人は積極的にリスクを取って利益を求める傾向になります。
つまり、カジノやギャンブル施設にあふれる青白いLEDの照明が、人々の判断力に直接影響し、「負けてもまあいいか」と感じさせてしまうことで、普段以上に危険な賭けをさせることを実証したわけです。
それでは、なぜ青い光が私たちの判断をここまで変えてしまうのでしょうか?
この現象の背後にある脳のメカニズムについて、次のセクションで詳しく見ていきましょう。
青い光は『脳の警報装置』を切るスイッチだった
