青がゴーサインなのと関係があるのでしょうか?
オーストラリアのフリンダース大学(Flinders University)などで行われた研究により、カジノやオンライン賭博でよく見られる青色が強い照明環境の下では、人間の脳が損失に対して感じる心理的な抵抗が弱まり、本来はためらうようなリスクの高い賭けにも手を出しやすくなってしまう可能性が示されました。
研究では、人間の目の中にある特殊な細胞が青い光を強く感知し、その刺激が脳の扁桃体という「恐怖や不安を感じる部位」の働きを弱めることで、結果的にリスクに対する心理的な抵抗が和らぐ可能性を示しています。
実は、私たちが普段使っているスマートフォンの画面や自宅・オフィスのLED照明にも、この青色の光は大量に含まれています。
こうした身近な光が無意識のうちに私たちの判断力を鈍らせているとしたら、私たちの日常生活や社会全体にはどのような影響があるのでしょうか?
研究内容の詳細は『Scientific Reports』にて発表されました。
目次
- 『100ドルの痛み』と『100ドルの喜び』の心理学
- カジノの『青い光』が人のブレーキを緩める
- 青い光は『脳の警報装置』を切るスイッチだった
『100ドルの痛み』と『100ドルの喜び』の心理学

ギャンブルをしたことがある人なら、誰でもこんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。
「あと少し勝てそうだ」と思い込み、結果的に大きな損をして後悔したり、負けることへの恐怖心がなくなってつい大金を賭けてしまったり。
私たちがギャンブルでついついリスクを取ってしまう背景には、「損失回避」と呼ばれる心理のクセがあります。
これは、同じ金額であっても得をする喜びより損をする痛みを強く感じる人間の心理傾向のことです。
たとえば、100ドルもらったときに感じる嬉しさよりも、100ドル失ったときに感じるショックの方がはるかに大きいとされています。